手になじむ大きさの文庫本が好きです。
あなたには、好きな文庫ありますか?
新潮文庫は、紙質としおりのヒモがお気にいり。
創元推理文庫は、標題紙のタイトル下に書かれている文章が好きです。
ネットで集英社のコバルト文庫の記事を読みました。
集英社「コバルト文庫」新刊が電子書籍のみになりレーベル終了の臆測広がる 集英社は否定
- 新刊が電子書籍のみで紙の出版は未定
- コバルト文庫が終了する予定はなし
書店で探しきれないほど、たくさんの文庫がある時代。
いつお気にいりの文庫が、電子書籍のみになってしまうかわかりませんね。
そんな日が来ないよう祈りつつ、コバルト文庫の思い出を書いてみました。
小説はすべてファンタジー
伯爵と妖精
『伯爵と妖精』シリーズも、イラストもぴったりでステキでした。
アニメやゲームにもなりました。(思いだすとPS2がまだ動くか気になります)
ファンタジーとしてもロマンスとしても、世界に浸れます。
どこか落ちついた印象が、ファンタジーに深みをあたえていると思ったら。
著者の谷瑞枝が51歳だったのに、ビックリ。
ロマンス小説好きの友人に読ませたら、ファンになってくれました。
好きな作品について語れるのは、うれしいものですね。
炎の蜃気楼
『炎の蜃気楼』シリーズもずいぶん読みました。
昭和編が出ていたのも知らなかったので、これから読みます。
このあたりから原作とあわせて、CDドラマも発売されるようになりましたね。
CDブックの『炎の蜃気楼 この夜に翼を』直江役の速水奨ファンに布教された思い出が。
高耶役の関俊彦も『最遊記』の三蔵やる前は初々しい演技。
声で演じられるとまた違ったあじわいで、原作を読みかえしたくなります。
マリア様がみてる
『マリア様がみてる』シリーズも楽しめました。
女子校の姉妹(スール)制度が、紅薔薇のつぼみなど美しい表現であらわされています。
「おねえさま」呼びは、現実でもふつうにありました。(耽美系じゃなく日常系で)
名札を下校時に見せないルールだったので、上級生が「あなた名札が出ていてよ」
入学式は、体育館で上級生から見下ろされながら行われます。
ナチュラルに上下関係をすりこむ技に、やるなあと感心しました。
氷室冴子作品はハズレなし
『白い少女たち』から『クララ白書』『なんて素敵にジャパネスク』『銀の海金の大地』まで。
氷室冴子作品は、かならず買って何回もよみかえしていました。
コバルト文庫の背表紙はピンク色だったけれど、氷室作品のカラーは違う印象。
明るいけれどうるさく感じません。
クララ白書のさわやかさ
女の子の寮生活をえがいた『クララ白書』はさわやかな水色といったところ。
私も女子高でしたが、女だけだとサバサバしています。
風通しよく楽しい思い出ばかりなのに、物語の女の子像はちがうなあと感じていました。
ところが、氷室作品の女の子はフィクションでも違和感ない自然さ。
ありそうでどこにもない普通です。
どこを探せばみつかるのか、今でもみつけたいくらい。
ヤマトタケル
目で見て美しい小説、耳で聴いて美しい小説
美しい容姿に猛き魂を秘めたヤマトタケル。
古代の悲劇をえがいた歴史ファンタジー。
本に入っていた乙女ちっく通信には「やまと言葉の美しさを感じてもらえたらいいな」とありました。
森田じみいのイラストが、古代の大王や王子をあざやかに表現しています。
モノクロのみずら(耳の横で左右にわけて結ぶ髪型)の皇子は、蔵書票のよう。
『銀の海金の大地』は未完の傑作
『銀の海金の大地』は古代転生ファンタジー。
真秀の章完結で、文庫本11冊分使って序章、ドトウの本編に突入しますと書かれていました。
1996年1月発行のあとがきを読んでから、本編を期待。
2008年6月の訃報が、本当に残念で信じられませんでした。
2009年に亡くなった栗本薫の『グイン・サーガ』は、有志によって書かれています。
2012年から131巻以降の続編や外伝が刊行。
受けつがれる物語をうらやましく思いました。
あんなにすばらしい作品が未完のままで、新しい読者はふえるのか気になります。
編集者に物語の結末を伝えたりしなかったかなと思ったり。
『銀の海金の大地』は物語のおもしろさ、キャラクターの魅力、舞台となる世界の構築力、どれもピカイチ。
少女小説のみずみずしさと媚びない潔さ、忘れられません。
銀の海 金の大地 1 古代転生ファンタジー (古代転生ファンタジー/銀の海 金の大地シリーズ) (コバルト文庫)
公式サイトも、がんばってます。
ひめくり企画 片陸遼助『厨二(ちゅうに)のための漢字ドリル』
ほんのり絶望先生テイストかと思ったら、太宰治を愛するとありました。
同じくひめくり企画で田中光『書店員の本谷さん』も脱力できます。