英国ドラマといえば、貴族社会をえがいた「ダウントン・アビー」現代にホームズが活躍する「シャーロック」など。伝統と歴史に新しい息吹をかんじさせる作品が印象的です。
泥くさく活躍するイケメンの「マスケティアーズ パリの四銃士」や、忘れられないSFコメディ「宇宙船レッド・ドワーフ号」まで、どこかマニアックな趣もありますね。
そんな英国ドラマのなかでも、いちばん地味なのが「刑事フォイル」時代設定から、登場人物、展開にも、華やかさはありません。DVDのデザインまで徹底して地味。
地味な刑事の地味なストーリーって、どこがいいの?暗い時代であっても、正義を貫くフォイルにシビれます。
爽快感まで味あわせてくれる、渋い演技。いつのまにかフォイルが、1番好きなキャラになりました。
ゲストも「ダウントンアビー」のモールズリー役のケビン・ドイルや「ドクター・フー」の10代目ドクターのデヴィッド・テナントなど、見のがせません。
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いぶし銀の魅力
「刑事フォイル」は、2002年から2015年までの全8シリーズ。脚本は「名探偵ポワロ」のアンソニー・ホロヴィッツ。
時代は1940年から1947年まで。ヘイスティング署の警視正フォイルは、どんな状況下であっても、信念を変えず行動します。
一見ごく普通なフォイル。なのに表情しぐさセリフすべて、おさえた表現が心にのこります。眉をあげる。目線をうごかす。帽子に手をそえる。それだけで雄弁に語りかけます。
三つ揃いのスーツにコート、めだたないお洒落のかっこよさ。悪役たちのすごみのある顔とフォイルのシックな着こなしが、いい対比になってます。
フォイルを演じる声優の山路和弘の声もぴったり。マイケル・キッチン本人の声より、フォイルらしさ感じるほど。
ジェイソン・ステイサム役もすばらしいけれど、フォイルの自然さは格別。ドラマの名演で受賞する賞は、ないのでしょうか。
ビンテージカーも見どころ
毎回登場する車も楽しみのひとつ。1940年代の車は、フォルムの美しさというより愛らしさ。無骨なようでいて、愛嬌すら感じさせる曲線。
フォイルをささえる女性運転手サム。機転がきいて捜査にも役だちます。うまく情報を引きだしたり、犯人を足止めしたり。
サムのどこか少年ぽくみえるルックスもキュート。好奇心いっぱいの彼女には、フォイルもお手あげ。率直さで暗い世相もユーモラスに表現しています。
もうひとりの部下だったミルナーが、フォイルから離れて残念。彼が大変だった時、フォイルが手をさしのべてくれたのに。
サムとミルナーのロマンスもずっと前におわり。ミルナーはよそよそしいだけじゃなく失礼な態度をとって、フォイルに注意されます。
マジメなミルナーの不義理に、時の流れを感じました。以前のようなフォイルとの関係性はのぞめないのか、気になります。
フォイルは警察からMI5(イギリス情報局保安部)へ。新しい舞台での活躍も楽しみ。