いつも淡々としている遠藤。おもしろくなさそうにすら見える遠藤が、なぜあんなに人気があるのか、不思議だと思いませんか?
卑怯なことをしないから。所作が美しいから。理由はいろいろありますが、時々目がさめるようないい相撲を見せてくれるから。
2020年初場所を盛りあげるのは、炎鵬、貴景勝それとも朝乃山?場所前の番組には、遠藤の話題がなくてさびしいかぎり。
イケメン力士といわれ、相撲のうまい遠藤。ケガで自分らしい相撲を、全くとれないこともありました。
まげを結うのが間に合わないほどのスピード出世だった遠藤。なのに同い年の高安に先を越されたまま。相撲センスは認められても、次につながらない歯がゆさがありました。
永谷園CMも気がつけば「ワンピース」のルフィ。そんなこんなで、初場所は炎鵬に期待して、宇良と遠藤の調子がいいのを祈ろうと思ってました。
ところがフタをあけてみれば、遠藤2日連続で横綱から金星。さらに豪栄道で3連勝と大活躍。
鶴竜の悪いクセを引きだす
からだの調子など口にしない遠藤は、サポーターもつけません。きれいな四股でもめだちますが、語らないのも美学。
(当日にならないと状態がいいかわからないのに、初日に横綱とはツイてない。)ファンにあるまじきネガティブ思考で見ていたら、まさかの金星ゲットにびっくり。
遠藤のすばやい攻めに鶴竜が引いてしまい、寄り切りで勝ちました。鶴竜も引くクセに気をつけているはずですから、それだけ追いこんだということ。令和元年九月場所初日のリベンジとなりました。
初日に勝てば、波にのれるはず。2日目もこの調子でとはいかない白鵬が相手?先場所の厳しいを通りこした攻めを思えば、ケガしないでお願い!
白鵬の本能をうまさでしのぐ
2日目。お客さん、遠藤コールしないで~。遠藤の顔に、はり手いくから。ひじうちで済めばいいけど、まずくすれば土俵から落ちて大ケガするかも。
遠藤の相撲人生考えて、白鵬エキサイトさせるのやめません?そんな心配してたのに、取組後にコールとは、わからないものですね。
白鵬は、負けた取組ほどくりかえし見るといいます。土俵のうえでプレデターなみに闘志をゆらめかせるのも、白鵬だけ。
横綱らしい相撲でも強いだろうに、できる手は全部使う白鵬。ほとんどの力士が勝負する前に、敗北してしまう心の強さ。
そんな白鵬を、攻めに攻める遠藤。解説するアナウンサーが追いつきません。
土俵のうえで、ただ勝ちたいと本能を解放できる白鵬。食らいつく遠藤。初めて見せる猛々しさに、龍と虎の攻防がうかびました。
裏返された横綱とテヘペロとイーッ
白鵬が予想よりおとなしい出方に見えました。それも遠藤が大胆な手も封じるだけの反応と対策ができたということ。痛々しい取組にならなくて何より。
技が次々にくりだされ、切り返しで裏返された白鵬。なかなかないレアカットになりました。
白鵬リベンジ金星で、遠藤思わず舌だしテヘペロ?ガッツポーズ出てもおかしくないのに、最小でとどめます。自制心フル動員するも遠藤も人の子、人間味あふれる瞬間でした。
敗れた白鵬が、これまた思わず鼻にしわをよせます。これが中継エンディング映像なんて、NHKもやりますね。白鵬のイーッを引きだす遠藤さすが。
終わったあとに巻きおこった力強い遠藤コール。健闘をたたえずにはいられません。立ち会えた方々が、うらやましい!
もう奇跡といわせない
優勝なんて夢のまたゆめと、優勝パレードする遠藤を想像することもやめていました。今は、ありありと浮かびます。品格ある大関も神事にふさわしい横綱も。
はじめは初日の金星をミラクルだと、2日目の金星を夢じゃないかと。3日目大関豪栄道との冷静な勝利で、ようやく実感がわいてきました。
勝利インタビューもあっさりしている遠藤。だが、そこがイイのです。乱れたまげに、肩でする息。ことばにならずとも、全てを語っているから。
遠藤の目線に「がんばります」の声のトーンに、ファンは答えを見つけます。金星でも平常運転。遠藤らしいとほほえましくなりますね。
まとめ
勝負は、時の運。それでも遠藤の相撲をずっと見ていれば、忘れられない一番が増えます。白鵬に向かっていく姿、最高でした。まずは優勝して、さらなる飛躍を。
(実力を見せつける時がやってきた!今度こそ遠藤のターン!)とファン冥利につきる幕あけでした。2020年は30才になる勝負イヤー、行け行け遠藤!