恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない。
田辺聖子の訃報を聞き、眠るまえによく読んでいたのを思いだしました。
先が気になるミステリーだと、目がさえてしまいます。
未読本は、夜ふかしのもと。くりかえし読みたくなるくらいが、ちょうどよくて。
単行本より文庫本の気分。一日のおわりにお疲れさんとねぎらってくれる田辺聖子作品。
小説やエッセイ、どれも読みやすいのに、心のいちばん深くまでとどきました。
エッセイは、やわらかく印象的なご本人の声が聞こえてきます。
小説は、日常でも大阪弁のせいかどこかファンタジーのよう。
今日の失敗や明日の心配、ひとまず置いてプチトリップ。
解説にも時の流れ
愛してよろしいですか?
昭和57年初版「愛してよろしいですか?」昭和59年11刷
帯には、NHK銀河テレビ小説原作の文字。主人公すみれ(三林京子)と年下の恋人ワタル(時任三郎)の写真入り。
昭和59年5月7日(月)夜より連続20回放映!話数の多さに注目。ていねいにドラマ化?
当時も冒頭のハイ・ミスという表現を、不思議に思いました。現在ではワード自体も見かけなくなりましたね。
昭和はこんなだったと古さも感じますが、おせいさんのノリにのってる名調子が爽快。解説は神津カンナ。
昭和62年の続編「風をください」はよりパワーアップ。解説は俵万智。
意外?納得?聖子ファンの作家たち
昭和55年「鬼たちの声」高橋章子~ビックリハウス編集長 特別な雑誌でした。
昭和57年「三十すぎのぼたん雪」常盤新平 自分の味方だと信じている読者が多いのでは~その通り!
昭和58年「人間ぎらい」川上宗薫 おおっと思いましたが、男性作家の目でみるおせいさん像になるほど。
昭和58年「愛の幻滅」太田治子 納得。おめにかかったことがないと書かれていますが、ヒロインの声がご本人の声と同質ではないかと。同感です。
昭和58年「孤独な夜のココア」神津カンナ 当時の本くに子のイラスト、ほわんとした色味がキレイ。ヒリヒリするのに、いちばん読みかえしています。
昭和60年「返事はあした」氷室冴子 ファンなのでうれしい人選。
昭和62年「ジョゼと虎と魚たち」山田詠美 納得。マンガ家時代の作品も、こういう世界が好き!と迷いないのがステキでした。
昭和63年「恋にあっぷあっぷ」山崎洋子 林静一のイラストが世界観にぴったり。
平成元年「嫌妻権」岩井三窓(川柳作家)霜田恵美子のポップなカバーイラストに、時代を感じます。
平成2年「九時まで待って」江國香織「つめたいよるに」が好き。
平成2年「苦みを少々」山田太一 図書館にあるシナリオ集読むのが楽しみでした。
スヌーたちとおっちゃんのもとへ
「川柳でんでん太鼓」が面白くて、詩歌がすきな義父にプレゼントしたこともありました。人に読ませたくなる本ですね。
人のいじらしさおかしさを、五・七・五に。おかげで川柳ファンになりました。
「手づくり夢絵本」の終わりに、スヌーピーのぬいぐるみのスヌーが「ふるさと」をよく歌うとありました。
この子らとわたしは、いつかは、かの岸へいっしょに帰るのです。
いまごろカモカのおっちゃんと、浮世のみやげ話に花をさかせているころでしょうか。